バルファキス財務相、辞任までの経緯(スペイン語ニュースから) | ラテン!ラテン!ラテン!

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国民投票は債権団の緊縮策にNO


7月6日未明、ギリシャは国民投票で債権団の緊縮案に「NO」をつきつけた。
事前の世論調査とは違って、賛成38.69%反対61.31%と反対が多数。


欧州や米国のメディアがNO=ユーロ離脱、と盛んに言っていた中をぬって、
首相と財務相がユーロ離脱ではなく、交渉を有利に進めるためだ、と訴えたことや、

緊縮財政案を受け入れたら、社会保障費の大幅削減を強制される、ということを
ツイッターやブログで訴えて浸透させていったからだと思う。

テレビにも出てたしね。

ところが…


バルファキス氏、突然の辞意表明

6日の午後、ロイターを初め、RTやTeleSurが、次々にツイッターで

情報が流れて来た。


「NO」だったのに、なぜ?

突然だったので、「これってハッカーの仕業?」と思ったほど、
信じられず、バルファキス氏自身のツイッターをたどりにいった。

twitter


 もう閣僚じゃない!


リンクのブログを読んでみると、いつものように静かな文章だった。


バルファキス氏のブログから


6月25日のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の最後通告に
歴史的な「NO」を出したことで、解決に向けて歩むことができる。
その解決策とは、債務再編、より緩やかな緊縮策と一番、必要とする人々に
届く再分配と真の改革だ。


国民投票の結果が発表された直後、ユーログループの複数のメンバーと
種々様々な「パートナー」から、交渉の場に私が欠席したほうが良いの
ではないか、ということに気づかされた。チプラス首相も合意に至るために
有益だと判断したので、今日、財務省を去る。


自分の責務は、チプラス首相が国民投票でギリシャ国民が与えてくれた
チャンスを生かすのを助けること。


だから自分は誇りを持って債権者の憎しみをかぶる。我々左派は、特権に
関係なく集団で行動する方法を知っている。チプラス首相、新たな財務省、
そして、我々の政府を全面的に支持する。


ということで、なんと、気になる人は辞任となった。
これって、ユーログループ(ユーロ圏財務省会議)の圧力?とか思って、
色々な報道をあたってみた。


スペインTVE



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スペインTVEの報道では、チプラス首相が謝意を述べ、バルファキス氏は
「困難な状況の中で、ギリシャ政府と国民の姿勢と利益を守るために

疲れを知らぬ努力をしてくれた」とし、交渉の”リーダー的役割”だったことを認めた。


ギリシャ政府の広報担当は、即時の合意(48時間以内)のために

交渉を再開すると。


今回の交渉ではバルファキス氏との共同作業が一番難しいと、あちこちから
不満が出ていたので、チプラス首相が、4月に、バルファキス氏の役割を縮小し、

交渉代表のツァカロトス副外務相を任せることにしたことから

ツァカロトス氏が新財務相の最有力候補。


バルファキス氏は、財政支援の対価としての緊縮対策に反対し、債務再編交渉を
守りぬいた。ギリシャ国民に広く支持されると同時にヨーロッパの財務相たちから
疎まれたバルファキス氏は、チプラス首相が合意に達成できるよう、自らの戦略に
忠実なまま財務相を辞任するが、交渉チームの中には残留するようだ。


BBC スペイン語


結局は、財務省会合からの圧力だったのだが、元々、ドイツのショイブレ財務相と
仲が悪かったらしいのだが、極めつけは、2月の時点で、バルファキス氏が
ショイブレ財務相に


「我々を侮辱するな」

と釘をさしたこと。


というのも、ドイツは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間とその後に
巨額の債務を抱えてハイパーインフレの危機に見舞われたことがあったのだ。
バルファキス氏は、その時のことを思い出させるような発言をしたのだが、
実は、ドイツは2度ともヨーロッパから債務を免除してもらっている。


RT スペイン語



ロシアトゥデイのスペイン語が、ツイッターでも何度も繰り返している。

「ドイツは2度も助けてもらったのに、なぜ、

ギリシャにはできない。メルケル首相は忘れているのか、

あのときのことを」(これはチョムスキーも言っている)


「ギリシャは第二次世界大戦の時にドイツに貸した分を

返してもらえ」


雑感

日本では余り細かく報道されないので、ついつい

深堀りしてしまったが、歴史はどこまでもついてくるのだ。

現在、一人勝ちのドイツに対して、皆が言いたいことを

言っちゃったのがバルファキス氏なのかもしれない。


それでも、今回の辞任劇は、本当に驚きで、

発表時には、「逃げるのか」とか「またゲーム会社に戻るのか!」と

いうツイートもあったが、ブログを読むとよく分かる。


色々な噂がはびこる中、自らの考えを英語と

ギリシャ語で「明確に」伝えることで、疑惑を払拭する、

というのはとても賢い方法だと思った。

ちなみに、今、ギリシャの国債を一番持っているのがドイツで、

727億ユーロと全体の28.3%、次がフランスの550億ユーロ、

3番目がイタリアで480億ユーロ。
これでユーロから離脱したらどうなるんだろ、と思うと
誰にとっても得にならないから何とか合意する気がするのだが。


Bankinter

deuda


TVEが財務相中心にカメラを回していたので
これから何だか寂しくなるなあ。