行くことができなかった、その夜、水木さんの本を色々
めくりながら、つい読みふけってしまった。
昨年の11月30日に亡くなられた水木しげるさんは、
生前、仮面を探しにメキシコに行った。
- 水木しげるの大冒険 幸福になるメキシコ―妖怪楽園案内/大泉 実成
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水木さんと共に色々な所に旅をした大泉実成さんは
「水木原理主義者」を宣言した人で文章も突っ込みも面白い。
オアハカの死者の日とか、モンテアルバンのピラミッドとか、
その場所で水木さんが言った言葉の一部が「水木サンの迷言366日」という
文庫にも収録されている。
- 水木サンの迷言366日 (幻冬舎文庫)/水木 しげる
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1月1日から12月31日までの語録は、私にとっては、
気分が落ち込んだ時の気付け薬のようなもの。
モンテアルバンで「ピラミッドの頂上は神との交流点」だと
考えた次のページに
「金は ほしがると にげる」
大泉さんが楽しんで編纂したことが分かる。
仮面を探し続けながら、コレクターが集めた仮面が下手なら
「見る目がないです、この人」とバッサリ!
日本が忙しすぎると言い、余生はノンビリ人生、すなわち、
メキシコ人生でゆこう、と言っている。
メキシコ先住民の見えないものを表現するところへの共感や
オアハカの死者の日の言葉も面白い。
「マヤ・アステカ。彼らは神を表現するからねえ。
遠慮会釈なくねえ」
オアハカの街の印象について
「ビンボーそうでいい街ですね」
メキシコ編も面白いけれど、時に子供の時の話、
戦争の話、貧乏の話、と多岐に渡り、これ1冊でも
色々、考える時間を持てるのだ。
子供の頃に「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメ主題歌
「楽しいな~楽しいな~、お化けにゃ学校も~
試験も、なんにも、ない」
を聞くと、いつもワクワクしていたことを思い出す。
学校に行きたくない、あの仲間に入りたい、と
真剣に思ってた。
だから大人になって
「好きなだけ眠りなさい」
「怠け者になりなさい」
という言葉に従っている。
これぞ、究極の幸せ!!
周りからは大丈夫か、の声が
日に日に高くなっているけれど
今の株価が命、みたいな世知辛い世の中で、
自分にとっての幸せを追求していく覚悟がなければ、
不要なものに翻弄される気がする。
「しなければいられないことだけ
やり続ける」という言葉にどれほど
鼓舞されたか分からない。
12月31日の言葉の通り
「では、またあの世で」と言っている
水木さんの存在そのものに感謝。
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