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ラテン!ラテン!ラテン!

渋谷からラテンアメリカ映画を発信!!

国民投票は債権団の緊縮策にNO


7月6日未明、ギリシャは国民投票で債権団の緊縮案に「NO」をつきつけた。
事前の世論調査とは違って、賛成38.69%反対61.31%と反対が多数。


欧州や米国のメディアがNO=ユーロ離脱、と盛んに言っていた中をぬって、
首相と財務相がユーロ離脱ではなく、交渉を有利に進めるためだ、と訴えたことや、

緊縮財政案を受け入れたら、社会保障費の大幅削減を強制される、ということを
ツイッターやブログで訴えて浸透させていったからだと思う。

テレビにも出てたしね。

ところが…


バルファキス氏、突然の辞意表明

6日の午後、ロイターを初め、RTやTeleSurが、次々にツイッターで

情報が流れて来た。


「NO」だったのに、なぜ?

突然だったので、「これってハッカーの仕業?」と思ったほど、
信じられず、バルファキス氏自身のツイッターをたどりにいった。

twitter


 もう閣僚じゃない!


リンクのブログを読んでみると、いつものように静かな文章だった。


バルファキス氏のブログから


6月25日のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の最後通告に
歴史的な「NO」を出したことで、解決に向けて歩むことができる。
その解決策とは、債務再編、より緩やかな緊縮策と一番、必要とする人々に
届く再分配と真の改革だ。


国民投票の結果が発表された直後、ユーログループの複数のメンバーと
種々様々な「パートナー」から、交渉の場に私が欠席したほうが良いの
ではないか、ということに気づかされた。チプラス首相も合意に至るために
有益だと判断したので、今日、財務省を去る。


自分の責務は、チプラス首相が国民投票でギリシャ国民が与えてくれた
チャンスを生かすのを助けること。


だから自分は誇りを持って債権者の憎しみをかぶる。我々左派は、特権に
関係なく集団で行動する方法を知っている。チプラス首相、新たな財務省、
そして、我々の政府を全面的に支持する。


ということで、なんと、気になる人は辞任となった。
これって、ユーログループ(ユーロ圏財務省会議)の圧力?とか思って、
色々な報道をあたってみた。


スペインTVE



vr1

スペインTVEの報道では、チプラス首相が謝意を述べ、バルファキス氏は
「困難な状況の中で、ギリシャ政府と国民の姿勢と利益を守るために

疲れを知らぬ努力をしてくれた」とし、交渉の”リーダー的役割”だったことを認めた。


ギリシャ政府の広報担当は、即時の合意(48時間以内)のために

交渉を再開すると。


今回の交渉ではバルファキス氏との共同作業が一番難しいと、あちこちから
不満が出ていたので、チプラス首相が、4月に、バルファキス氏の役割を縮小し、

交渉代表のツァカロトス副外務相を任せることにしたことから

ツァカロトス氏が新財務相の最有力候補。


バルファキス氏は、財政支援の対価としての緊縮対策に反対し、債務再編交渉を
守りぬいた。ギリシャ国民に広く支持されると同時にヨーロッパの財務相たちから
疎まれたバルファキス氏は、チプラス首相が合意に達成できるよう、自らの戦略に
忠実なまま財務相を辞任するが、交渉チームの中には残留するようだ。


BBC スペイン語


結局は、財務省会合からの圧力だったのだが、元々、ドイツのショイブレ財務相と
仲が悪かったらしいのだが、極めつけは、2月の時点で、バルファキス氏が
ショイブレ財務相に


「我々を侮辱するな」

と釘をさしたこと。


というのも、ドイツは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間とその後に
巨額の債務を抱えてハイパーインフレの危機に見舞われたことがあったのだ。
バルファキス氏は、その時のことを思い出させるような発言をしたのだが、
実は、ドイツは2度ともヨーロッパから債務を免除してもらっている。


RT スペイン語



ロシアトゥデイのスペイン語が、ツイッターでも何度も繰り返している。

「ドイツは2度も助けてもらったのに、なぜ、

ギリシャにはできない。メルケル首相は忘れているのか、

あのときのことを」(これはチョムスキーも言っている)


「ギリシャは第二次世界大戦の時にドイツに貸した分を

返してもらえ」


雑感

日本では余り細かく報道されないので、ついつい

深堀りしてしまったが、歴史はどこまでもついてくるのだ。

現在、一人勝ちのドイツに対して、皆が言いたいことを

言っちゃったのがバルファキス氏なのかもしれない。


それでも、今回の辞任劇は、本当に驚きで、

発表時には、「逃げるのか」とか「またゲーム会社に戻るのか!」と

いうツイートもあったが、ブログを読むとよく分かる。


色々な噂がはびこる中、自らの考えを英語と

ギリシャ語で「明確に」伝えることで、疑惑を払拭する、

というのはとても賢い方法だと思った。

ちなみに、今、ギリシャの国債を一番持っているのがドイツで、

727億ユーロと全体の28.3%、次がフランスの550億ユーロ、

3番目がイタリアで480億ユーロ。
これでユーロから離脱したらどうなるんだろ、と思うと
誰にとっても得にならないから何とか合意する気がするのだが。


Bankinter

deuda


TVEが財務相中心にカメラを回していたので
これから何だか寂しくなるなあ。


毎日、ギリシャから目が離せない…。

tzy&vvar


現地時間の7月5日にEUの緊縮策の是非を

問う国民投票をすることもあり、

スペイン語圏から様々な反応が出ています。


前回のバルファキス財務相の時にも書きましたが、

日本は、やはりドイツやEU、IMF(国際通貨基金)の

目線で報道していることが多く、「チプラス首相の迷走」とか

「南ヨーロッパは借金の感覚が違う」とかという

声だけが聞こえて来ます。


そういう報道を見る度に、もうちっと別の視点が

あってもいいんじゃないか、と思うのは、スペイン語圏の

人々の反応を見ているからかもしれません。


ツイッターでは、いち早く、

#YoVoyConGrecia 

(私はギリシャの味方)というハッシュタグが

作られ、「奴隷としてではなく、尊厳のある解決を」と

いうチプラス首相とバルファキス財務相を応援しています。

(ま、同じハッシュタグで罵倒している人もいるけれど)


ベネズエラのTeleSur、RT(ロシアトゥデイ)の

スペイン語版、スペインの日刊紙 El Paisに

アルゼンチンのCN5も連日、ギリシャの話題を

追っていて、交渉内容の詳しい点まで報道しています。


これはスペインやラテンアメリカにとっても人ごとではないからでしょう。

前回も書きましたが、ギリシャのユーロ参入の時に金融スワップで

儲けたゴールドマン・サックスを初め、ドイツもギリシャへの

輸出で大いに儲けて来た経緯があります。それでIMFに行き着いた。


2001年にアルゼンチンがデフォルトした後、就任したキルチネル大統領が

ラテンアメリカ(特にベネズエラ)の財力を借りて

IMFから脱退すると宣言したのを覚えている人もいるでしょう。

そして、国債は75%償還しなかった。円建て国債(サムライ債)で

大損をした機関投資家もいたので、大きなニュースになりましたが、

今でも「借りた金、返せよ」コールは続いています。

余談ですが、そんなアルゼンチンを食いものにしたのが
米国の投資家。暴落したときにヘッジファンドを通じて
二束三文で買ったアルゼンチン国債の償還を求めましたが
交渉は決裂しました。

2001年のアルゼンチンと今のギリシャで共通していることは、

どちらの首脳陣も債務を作った張本人ではないことと、

ここで、苦しくとも断ち切らねば、自国は一生、新自由主義の

奴隷になる、という危機感があること。


IMFに対する嫌悪感は、筆頭国が米国だということの他に

「金を貸すから、外資を入れろ。規制緩和しろ」と

迫り、その後ろには、手ぐすねひいて待っている

米国と欧州の投資銀行や企業がいます。


国際援助のバックに商社とメーカーがついてくる日本のODAとも

良く似ているかも。


今のギリシャの問題は、加入した当時の政権が、粉飾まで

して入ったこと、入った瞬間からカモにされてきた、ということです。

借金しても、大半が返済にまわされ、国庫に入るのはほんの1部。

これでは、財政再建もできません。


そこんところを、ジャーナリストのイグナシオ・ラモネが詳しく話している記事が

「ラモン本を我らの手に」というサイト(Manu Chaoの父ちゃんのラモンの本を

出版するプロジェクト)にありました。2010年10月の講演ですが、すでに

今の状況が起こっていたことが分かります。

欧州経済危機とギリシャ

富裕層の資金の流出は想像がつきましたが、

国防費の削減をしないのはドイツとフランスから武器を購入しているから、と

いうのには驚きました。(フランスはヨーロッパの武器商人として有名ですが)


そういえば、今回、IMFも国防費の削減を求めていますが、

そこはどこまで踏み込めるのか。


今回、チプラス首相とバルファキス財務相が粘っているのは

年金の減額と付加価値税の値上げの阻止。

ギリシャ側が出した法人税や富裕層への徴税には

債権団が難色をしめしています。


ここまで粘れるのは、ギリシャがユーロから離脱すれば

高金利を求めてギリシャの国債を大量に持っている銀行や

インフラ投資してきた企業への大打撃を見越しているからでしょう。


すでに年金は(元が高かったとはいえ)50%もカットして、

平均650ユーロ余り。失業率はスペイン同様、若年層では50%を

越えています。


だから、チプラス首相は国民投票で「NO」を入れるように、

つまり強気にでることを呼びかけているのです。


緊縮案を受け入れても、これまで以上に、屈辱的な苦しみが

長引くことが分かっているから。


3割の債務減額で、20年で返済可能になるとチプラス首相はツイッターで

訴えています。その債務減額を取り付けるためにも「NO」が

必要なのだ、と。


国民投票で「YES」と出たら、首相も財務相も辞任する意向です。


国民投票をすると発表したときに、ユーロ財務相会議の中からは、

「一般国民にこんな複雑なことが理解できるのか」という声が

上がりました。


それでも、強硬な緊縮を求める債権団に対抗するためには、

これしかない、という最後の手段なのだと思います。


実はEUには、ユーロ離脱の明確な法的手続きがなく、「NO」と

出ても、即離脱にはなりません。今週、水曜日のTVE(スペイン国営放送)では、

首相と財務相が欧州裁判所に、その点を確認しにいったと報じて

いました。


前代未聞の国民投票ですが、今回のギリシャ政府の対応は

「尊厳ある選択」について、学ぶべきところがあるのでは、
と思えてなりません。

先日、7月10日にキューバと米国の大使館がそれぞれ再開するという
ニュースが入って来ました。

そこで、本日から名古屋シネマテークで始まるラテン特集、
(特に今日はキューバ映画3連発の貴重な日なので)
2ヶ月ほど前に「女性のひろば」に書いた文章を掲載することに
しました。作品名から公式サイトの作品にリンクします。

以下、その文章です(長くてすみません)
本日7月4日上映は…
10:30  永遠のハバナ
13:00  苺とチョコレート
15:30  低開発の記憶

先日の米州首脳会議で、ついに、ラウル・カストロ国家評議会議長とオバマ大統領の会談が実現し、国交正常化交渉の進展に向けて注目を集めているキューバ。このちょっと不思議で魅力的な国が、ラテンアメリカ映画の配給を始めるきっかけを作ってくれました。
それは、2003年、首都、ハバナで毎年12月に開催されている新ラテンアメリカ映画祭で出会った「永遠のハバナ」という作品です。

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初めての映画祭が、「なぜキューバ?」と良く聞かれますが、それは81年から82年に留学した、メキシコのケレタロ自治大学で、学生たちを「同志」と呼ぶ教授のマルクス経済学の講義に大きな影響を受けたからです。

メキシコは、いち早く革命が起こったにも関わらず、当時は一党独裁で経済危機に喘いでいましたし、チリやアルゼンチンは軍事政権下。その中で、無償で医療や教育を提供していたキューバが燦然と輝き、いつか必ず行こうと思ったのです。

その約20年後に訪れたハバナは、映画祭の熱気と共に、人々のエネルギーが充満する街でした。当時は、まだ、街のあちこちに警官がいて、外国人と一般のキューバ人が接触するのを阻止していましたが、映画館では一緒に観るので、会話も自由。特に独りで観に来る映画好きの女性たちとの意見交換はとめどなく、その口コミ伝播力が、半端でないことも分かりました。

「永遠のハバナ」も、初めて、ハバナに住む市井の人々の暮らしがスクリーンに映し出されたことから、連日、満席。セリフなしで、街の音と音楽で綴られる1日の物語に圧倒されながら、エンドロールで観客からわき起こる拍手に胸が熱くなり、無謀にも日本で配給することに…。

その後、2009年まで毎年、映画を通して、それまで知らなかったキューバの歴史や、監督たちの想いを学ぶことになりました。

1959年の革命勝利の直後に、キューバ映画芸術産業庁(ICAIC)を設立したフィデル・カストロは、大の映画好きとして知られていますが、農地改革を初めとする政策を浸透させるために数々の映画制作を命じました。

まだ文字が読めない人々が多かったので、映像で伝えるためです。
(☆1)その意向に協力した映画監督の代表格が、トマス・グティエレス・アレアで、
イタリアのチネチッタでネオ・リアリズムを学んだ、いわゆる、ブルジョア階級でしたが、革命後のキューバに大きな影響を与え、キューバ映画の代表作
「低開発の記憶」(1968) 

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「苺とチョコレート」(1993)

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を撮りました。実は、アレア監督は1961年にある作品が上映禁止になったことに抗議してICAICの委員を辞任し、教条主義に陥ることにいち早く、警鐘を鳴らしました。


キューバ革命は元々、建国の父、ホセ・マルティが提唱する「平等主義」を掲げて勝利したのですが、亡命キューバ人を使った米国の攻撃(ピッグス湾事件)や空爆で、1961年に社会主義革命を宣言。ブルジョア階級が次々とキューバから出て行きました。

この時期からキューバ危機までを描いたのが「低開発の記憶」で、キューバに残ることを決めたブルジョア階級のセルヒオを主人公に、ドキュメンタリーとフィクションの融合を成功させた例として今も各国で上映されています。

また同じくアレア監督の「12の椅子」(1961)は、オールロケで当時の街並をカメラに収めながら、国有化された椅子を追うブルジョア男の悲喜劇、


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「ある官僚の死」(1966)は、叔母の年金のために、叔父の墓を掘り起こす甥のドタバタ喜劇ですが、根底には政府や官僚主義への批判が隠されています。

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米国のアカデミー賞外国語映画部門に史上初ノミネートされたキューバ映画「苺とチョコレート」(フアン・カルロス・タビオとの共同監督)も、同性愛者の芸術家と革命シンパの学生の間に芽生える友情を描いています。

フィデル・カストロがアレア監督を尊敬していたから、自由に撮れたのだという人もいますが、他の監督作品でも、どこかに現状への批判が隠されています。こうして、映画を通してみると、単なる社会主義国としてではないキューバが見えて来ます。

もちろん、未だに政治犯として収監されたままの人々もいますし、革命記念日には国旗を振るために動員されますが、パレード終了後は、みな、国旗を道端に捨てて行くので、回収車が出るほど。一筋縄ではいかない国民とどこか諦めにも似た政府の構図が見えて来ます。キューバと米国の関係も、互いに全く閉ざしていた訳ではなく、「永遠のハバナ」では、亡命者用のマイアミ行きのフライトがあることが分かりますし、ハバナの映画祭には米国人が数多く来ていました。

キューバに渡航すると罰金2万ドルのはずでしたが、映画祭の公式サイトには堂々と「米国からの参加者は○○旅行社を使うこと」という指示があり、米国当局にバレないようにトロント経由ハバナ行きのチケットを取ることができたのです。(当時は入国スタンプなしでした)

今、話題となっている両国大使館の再開も、実は、ハバナには米国の利益代表部のビルが、ワシントンにはキューバの利益代表部の建物があるので、決まれば早い、と言われています。「看板代えればいいんだから」と。

しかし、米国の経済制裁は、ICAICの資金不足も招き、数年前から映画監督たちは、欧州から資金を調達してインディペンデント作品を撮るようになりました。ICAICも、それは阻止できず、互いに協力的な関係を築く姿勢へと少しずつ変わってきています。

米国との国交正常化に映画関係者が期待していることは、米国でもキューバ映画が自由に観られるようになること、それによって、資金調達が可能になり、検閲が緩和されることでしょう。

リーマンショックが起こった時に、あるキューバ人監督が言いました。
「経済危機なんて怖くない。生まれてこの方、ずっと危機だから」と。

日本の閉塞感と暴走する政府に歯軋りするたびに、キューバの映画人たちの苦境を笑いとばすしなやかさ、どんな状況でも映画を撮ろうとするエネルギー、そしてユーモアに忍ばせる批判の精神が、今こそ必要だと痛感しています。

☆1その後の識字運動で識字率は世界でもトップクラス、2013年の統計では99.9%



この中で紹介できなかったのがウンベルト・ソラスの女性を主人公にした3部作
「ルシア」です

lucia4

永遠のハバナ 予告編


低開発の記憶 予告編

つ、ついに名古屋にて上映です。

ラテン!ラテン!ラテン!の中から
新作「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」を
含む10作品が、7月4日(土)から17日(金)まで
名古屋シネマテークで上映されます。

名古屋シネマテーク公式サイト

入り組んでいるのでタイムテーブル
作成してみました。

nagoya


公式サイトも更新しました。
ラテン!ラテン!ラテン!

1週目は1日3本、2週目は1本ずつです。
ぜひぜひ、この機会に!





latin



日本の政治家が余りにつまらないので、

スペインのニュースで連日報道される

ギリシャのバルファキス財務相が気になって仕方ない。


四面楚歌の状況で交渉を続ける

ギリシャの代表として、いま債権団(IMF, 欧州中銀、EU)

の矢面に立っている。


6月30日に国際通貨基金(IMF)への

約15億4,000万ユーロの返済ができなければ、

債務不履行(デフォルト)となるのだが、

ギリシャの最大の債権者はユーロ圏(60%)なので、

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の
デイセルブルム議長もデフォルトを避けるために

奮闘している。

債権団の提案は「屈辱的な緊縮財政」だと

年金削減を拒否。18日の会合で合意に至らず、

今後はEU首脳会議での話し合いが続く。


ギリギリまで交渉を続けようとする

ギリシャのバルファキス財務相は、

今年の2月に就任。英国を初めとした各国の

財務相との話し合いで欧州を回った時に

ノーネクタイで通し、「私が破産した国の財務相です」と

いう挨拶で始めたことから、欧州のメディアが

一斉に注目した。

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彫りの深い顔と自分流のスタイルを貫く姿に、

他の政治家が皆、退屈に見えると言われるほど。

「ヨーロッパの北が働き者で南が怠け者という言説は

間違っている」と堂々と言ったことで、スペイン、

イタリアでは人気急上昇。


周りはみな敵、みたいな状況でポーカーフェイスを

保ち、粘り続ける財務相がどんな人なのか?

と思ったら、「ポスト2008年世界のための思考」

という英語ブログがあり、自らのことも語っている。

thoughts for the post 2008 world


1961年アテネ生まれ。1978年に英国のエセックス大学で

統計学と数学を学び、バーミンガム大学で修士、博士号は

経済学。82-88年までエセックス大学やケンブリッジ大学で

教鞭をとり、1987年、サッチャーが首相になったことで、

耐えられず、1988年から2000年までシドニー、2000年に

ギリシャに戻り、アテネ大学で経済政策を教えながら

アテネ大学に経済の博士課程を創設する(2010年の危機で崩壊)


2000年代の前半から、友人のジョセフ・ハレヴィ教授と

共同でグローバル経済とユーロ圏の持続性の危機に関する

記事を書いたり、このままだとギリシャはボロボロになる、

という警告を発したりしたが、誰も聞く耳を持たなかったらしい。

ジョセフと共に、戦後資本主義の第二段階が終わり、

これまでの経済理論が行き詰まる、という内容の本を執筆

していた時に、2008年の危機が起こる。


傷が浅いうちにデフォルトするか、債務元本の減免を

行いつつ、ゆるやかなインフレにもっていって、債務の山を

減らすべきだ、とギリシャ国内だけではなく、EUにも「謙虚な提案」

をして呼びかけたが、本当のことを言い続けたことで、

身の危険を感じるまでになり、ついに2012年に米国へ出国。

テキサス大学で教鞭をとり、オンラインゲーム会社ヴァルヴの

チーフエコノミストとなった。


Valve Software Appoints In-House Economist


「反緊縮政策」の急進左派連合を支持して2015年の総選挙で当選。

これまでの緊縮政策で、すでに疲弊している年金生活者や栄養失調で

倒れる子供がいる時に更なる緊縮は無理だと、債権団からの「年金削減」に

関しては、「越えてはならない一線」だと譲らない。


18日に提案した内容も自らブログに上げて、読者に判断してほしいと

している。(コメントの賛否両論がすごい)

Greece’s Proposals to End the Crisis: My intervention at today’s Eurogroup

米国が最大の出資者であるIMF〔日本は2番目)は、

ラテンアメリカ諸国にとっては、お金を借りたくない相手。

借りる代わりに規制緩和や外資導入を要求され、自由主義経済の

優等生!と、もてはやされたアルゼンチンが財政破綻したことは記憶に新しい。


もともと、ギリシャは、2001年にユーロに加盟する時ギリギリまで、

債務残高と財政赤字のGDP比が、それぞれ、60%未満と3% という

加盟条件をクリアしていないのではないか、と

疑われていて、当時は連日、ニュースで取り上げられていた。


それが、明確に分かったのは、2009年のギリシャの政権交替時。

ゴールドマン・サックスが通貨・金利スワップ取引という

デリバティブを使ってギリシャの粉飾に協力した、と新政権が

暴露した。


ブルームバーグ記事

ギリシャ向けゴールドマン融資、「背徳者同士」の危うい契約


日本はIMF側の視点で報道するので、

ギリシャの破綻は「自業自得」だと思われるかもしれないが、

イタリアもスペインも翻弄されている国債バブルの

根底には、通貨だけ統一してしまったユーロ圏の
格差に乗じて国債やCDSで儲けている&儲けようとしている

投資銀行や投資家らがいることは否めない。

CDSとは?


ヨーロッパ金融危機は、ソブリン・バブルの崩壊

どちらにせよ、これまでの失敗を一手に背負って

「反緊縮財政」で始まったのが、チプラス政権であり、
EU、IMFと欧州中銀を相手に、「尊厳ある合意」を求めて

粘っている姿から目が離せない。

追記:18日の交渉決裂でユーロ圏首脳会議との協議に
入ることになったが、22日、ユーログループとの
緊急会議でギリシャは新たな提案を提出した。

ユーログループ議長、週内ギリシャ合意期待



2012年、自らリポートするギリシャの実情。 Welcome to the eye of the storm (英語)


訣別 ゴールドマン・サックス/グレッグ・スミス
¥2,052
Amazon.co.jp

投資銀行がどう変わって来たのか。
先日、過労死疑惑も起こった
ゴールドマン・サックスの変遷。
(2012年刊)

ラテン特集上映の後、スペイン映画「スリーピング・ボイス」が先週12日(金)で上映終了し、抜け殻状態になっているvagabunda ですが、皆様、いかがおすごしでしょうか?

お忙しい中、観に来て下さったみなさまに、大感謝!です。


さて、お話をいただいた時には、ずっと先だと思っていた、このパーティ。なんと来週開催じゃ~ということで、急ぎの告知を。

 主催は、スペイン語圏の音楽や文化に関する情報を発信・共有するウェブサイト、ラテン音楽マガジン「eLPop」。

今回のテーマが「スペイン語圏の映画と音楽」ということで、トークで参加します。強者ぞろいの
eLPopの皆様が選ぶ映画と音楽もとても楽しみ。

 私は裏話的なトークで、スペイン語映画の「ここだけの話」をしてみたいと思っております。

 以下開催概要です。
なんと、スペシャルフードはコロンビア料理らしい。。。

6/22 「エル・ポップ」パーティ Vol.4@代官山 山羊に聞く?


「ラテン音楽と映画の関係~ハイスペック・オーディオで聴く、映画の中のラテン音楽」


2015622日(月)@代官山「山羊に、聞く?

出演:「エル・ポップ」オールスターズ

スペシャル・ゲスト:比嘉セツ


予約:2,500円(スペシャル・フード付・ドリンク別)

当日:3,000円(スペシャル・フード付・ドリンク別)


ご予約は:

「山羊に、聞く?」03-6809-0584 (14:00~23:00)
「山羊に、聞く?」予約フォーム

または、

Facebook 「elpop.jp」のメッセージから

あるいは下記メールで。

elpopjp2014@gmail.com 


「お名前・人数・電話番号」を明記の上お申し込みください。

みなさまのお越しをお待ちしておりまっす。





本日よりラテン特集は最終週に突入。

「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」は

6月12日(金)までです。


最後まで3回券も使えます。


今日からの5日間、毎日、13:00から

1日1本ずつの最終上映です。


そうして、つぎは、名古屋シネマテークへ♫

(詳細は後日)


6月12日(金)まで

10:20~

「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

 

13:00~

5月30日(土)「今夜、列車は走る」(アルゼンチン)35mmフィルム上映

5月31日(日)「低開発の記憶」(キューバ)

6月1日(月)「ルイーサ」(アルゼンチン)35mmフィルム上映

6月2日(火)「聖者の午後」(ブラジル)

6月3日(水)「グッド・ハーブ」(メキシコ)

6月4日(木)「ブエノスアイレス恋愛事情」(アルゼンチン)

6月5日(金)「朝食、昼食、そして夕食」(スペイン)






 

 

 

 

 



本日より、ラテン!ラテン!ラテン!
アンコール上映開始です。

これから2週間で、1日1本ずつ、
最後のスクリーン上映です。

ラテン!ラテン!ラテン!上映作品

10:20~
「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

13:00~
アンコール上映

schedule

3人で使えばひとり1,000円で観られる3回券も
売り切れるまで(あと少し)劇場にて発売中!
「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」にも
使えます。←大盤振る舞い!

フランス映画批評家組合が主催する国際批評家週間。

監督週間と同じく、カンヌ映画祭とは主催団体が違って

独立しているパラレル(並行)部門で、ひと足早く
グランプリが決定。


アルゼンチンのサンティアゴ・ミトレ監督(34)

のPaulina (La Patota) 。

afiche


映画祭でのタイトルはPaulinaになっているけれど

アルゼンチン国内ではLa Patota。1960年のダニエル・

ティナイレ監督の同名作品のリメイクなので。


時代を現代にうつした物語の主役パウリーナを

演じるのは、アルゼンチンのドローレス・フォンシ。

弁護士であるパウリーナ、判事の父がいる

生まれ故郷に戻って、荒れた若者たちがいる学校の教師と

なるのだが…。「正義のために法を破れるか?」

と問いかけられるサスペンス映画だそうだ。




最近、精力的に映画出演しているフォンシ。

ガエル・ガルシア・ベルナルとの

間に2人の子供を授かったけれど、

昨年、別れたようで、今回の撮影中に、
ミトレ監督と恋に落ちたようだ。

patota

今日は、映画をちょっとお休みして音楽のご紹介。

アルゼンチンの首都、ブエノスアイレス出身の

マリアナ・バラフ。

現在は、「自然とフォルクローレの伝統が豊かな」

北部サルタに拠点を移しているらしい。


初めて聞いた時、若いのに肝っ玉すわっているというか

「大地を踏みしめている」感じがして、可憐な声にも、

芯が1本通っているのが印象的だった。


mariana

『マリアナ・バラフ東京公演』

201563日(水)

南青山 MANDALA tel.03-5474-0411

OPEN 19:00
START 20:00


TICKET:

前売り5,000円(+1 drink)

当日5,500+1 drink)

ご予約&お問い合せ:

AHORA CORPORATION tel.03-5336-6957

e-mail: info@ahora-tyo.com

専用website(ご予約いただけます)



新作CDの音源も試聴できます。




音楽一家の出身で、パーカッショニストから

キャリアを始めたというのがうなずけるのが、

このビデオ。

 

Chacarera Santiagueña



キューバのシルビオ・ロドリゲスの「La gota de Rocio」

Gabo FerroとMariana Barajバージョン




あ、この映像は、フリオ・メデムの「アナとオットー」で

アップした人が組み合わせたもの(ピッタリすぎるわ~)


でも、マリアナ・バラフの音楽がテーマに使われている映画

もあるのですよ~。


アルゼンチン人一家が、家族でキューバを旅するドキュメンタリー

「Vacaciones con Fidel」

子供たちはディズニーランドに行きたがっていたのに、
父ちゃんが、行き先をキューバに決定!


 


この曲は2枚目のアルバム「Margarita y Azucena」に

収録されているObiero。
上記のLa gota de rocioも同じアルバムに。

雛菊と白百合/マリアナ・バラフ
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最新アルバムVallistaでは、アルゼンチンでいち早く

映画音楽でハリウッド入りしたグスタボ・サンタオラヤ

(「ブロークバック・マウンテン」「モーターサイクル・ダイアリーズ」)

が一曲だけヴォーカルで参加している、というのも

聴きどころ。


バジスタ~谷に住む女/マリアナ・バラフ
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サルタではフィト・パエスとも共演。


他の誰にもできない音楽、我が道を往く
マリアナの
生の声を聴ける貴重な機会。

ご都合がつく方は、ぜひに!!


会場でお会いしましょう~♫

マリアナ・バラフ東京公演Facebook



サングレ・ブエナ/マリアナ・バラフ
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チュリータ/マリアナ・バラフ
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