ラテン!ラテン!ラテン! -3ページ目

ラテン!ラテン!ラテン!

渋谷からラテンアメリカ映画を発信!!

あ、いまタイトルに「制作」を
付け加えました。まるで新作完成したみたいに
読めることに気づいたので…すみません。

毎日、届くカンヌ映画祭からのお知らせ。

中には「どこにいるのだ、お前は?」という

セラーからのメールもありますが、

私、行ってません!ってば。


現地にいると映画観るのに忙しくて

中々、書けないので、今年は、東京で、

こちらに届いたカンヌからの便りを

ご紹介することに。


もっちろん、スペイン・ラテン系映画ですよ。

でも、最近、みな英語で撮っちゃうから

悲しいんだけど…。


そんな中、カンヌ映画祭初日に、リュック・ベッソンの

ヨーロッパ・コープが、ハビエル・バルデムとペネロペ・

クルスが共演予定の作品に出資、配給と制作にも

加わることを発表しました。



penelope_javier
© Closermag.fr
(リドリー・スコット「悪の法則」の時の写真)


今回は、コロンビアの麻薬王、パブロ・エスコバルの伝記映画

で、監督はスペインのフェルナンド・レオン・デ・アラノア。

fernando


フェルナンド・レオン監督の初長編劇映画は、

疑似家族を描いた「Familia」(1996)。

当時の六本木シネ・ヴィヴァンで開催された

スペイン映画祭(1998)で上映され、
初来日しました。


その時に通訳したこともあって、その後も

作品を追っておりましたが、これまで

「Barrio」(1998)も「Los Lunes al Sol」(2002)も

劇場未公開。
(「Los Lunes al Sol」は「月曜日にひなたぼっこ」
というタイトルで、2003年のバスク映画祭で上映)


「Los Lunes al Sol」は、

ハビエル・バルデムにルイス・トサルという

スペインきっての演技派が共演しゴヤ賞も受賞。

lunes

スペイン語が分からず観たのに
10年近くたっても思い出すという
「月曜日にひなたぼっこ」
「アジア雑語林」さんのブログ

この時からすでにスペインの失業問題は頭を

もたげていたことが分かります。造船所の
大量解雇や閉鎖反対運動は、今も続いているし。

2015年3月の失業率は23%。

25歳以下の失業率は50.1%で、
政府は改善している、と言っています。

スペイン失業率データ

Lunes al Sol


監督は、その後、ハビエル・バルデムがプロデューサーとして

制作し、世界で明らかにされていない問題を

描いた短編ドキュメンタリーのオムニバス

「Invisibles」(2007)にも参加しています。


Invisibles 子供兵士 フェルナンド・レオン


ハバナの新ラテンアメリカ映画祭で

上映された時、ハビエル・バルデムがTシャツと

ジーンズで登壇して、ハバナは他の映画祭のように

窮屈じゃないから好きだ、と言ったのが印象的でした。


自ら脚本を書き、演出するというスタイルは

変わっていませんが、最新作「A Perfect Day」は

初の英語作品で、ベニチオ・デル・トロ主演。

今回、監督週間に出品されています。

撮影は

「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

のアレックス・カタラン。


A Perfect Day UK Teaser Trailer


パブロ・エスコバルの伝記映画といえば、

ベニチオ・デル・トロが主演した

「Escobar; Paradise Lost」は、まだ日本で

公開されていないことに気づきました。


Escobar; Paradise Lost 



南米では去年の年末から今年にかけて

公開されたようですが、米国は今年の年末予定(?)

(つい最近、リスケされたというニュースが

ありましたが…)ということで、成り行きを

みているのでしょうか。


フェルナンド・レオン監督の作品は、

2008年に出版されたビルヒニア・バジェッホ著

「Amando a Pablo, odiando a Escobar」

(直訳:パブロを愛し、エスコバルを憎みながら)を原作に

監督自身が脚本を書き、今年末にクランク・イン予定で、

こういう話題を機に、これまでの監督作品が上映されれば、と

願ってやみません。

(地味な人間ドラマに愛が見える作品です)


Amador (2010) 予告編

(主演は「悲しみのミルク」のマガリ・ソリエル)


昨夜の雨がウソのような青空の渋谷。


なんと、アンコール上映が決定いたしました!


まだ、3回券を使い切ってらっしゃらない方は

ぜひに!(3回券の販売も続行します)


5/23(土)~6/5(金) 13:00より
1日1回上映。


「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」は

5/16土)より朝10:20からで、

当初の予定よりも1週間延びて6/12(土)

となりました!

schedule

↑クリックで拡大

K's cinemaの公式サイト


そして今日、5/13 (水)の上映作品は

アルゼンチン映画2連発。


12:00 「瞳は静かに」

14:30「今夜、列車は走る」

16:45「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」


軍事政権下(「瞳は静かに」)と自由主義政権の下での

鉄道民営化(「今夜、列車は走る」)に翻弄される

鉄道員たちを描いた2作品です。


どちらも初監督作品ながら、ノルマ・アレアンドロ(「瞳は静かに」)や

ダリオ・グランディネッティ(「今夜、列車は走る」)ら

ベテラン俳優たちが、脚本に賛同して出演を承諾した作品です。


瞳は静かに



今夜、列車は走る


ダリオ・グランディネッティの次回作は、

「Francis: Pray for Me」


フランシスコ法王役で、現在、撮影中です。

12:00 「グッド・ハーブ」

14:30「永遠のハバナ」

16:45「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」


風が強い渋谷ですが(この時期に台風?)

今日の1本目はメキシコ映画


「グッド・ハーブ」



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パンフが売り切れたので補充しに行きました!

中身満載のうえ、読んでいると何だか癒される

長屋さんの文章です。


長屋さんのブログ


気がつけば、ここはメキシコだった

メキシコ情報満載です。

オフェリア・メディーナは、1990年に日本で

公開された「フリーダ・カーロ」に主演しました。

監督はポール・ルデュックで、まさにメキシコ映画。

原題はFrida; Naturaleza Viva で1983年制作です。



その一部がこちら。

オフェリア若い!(←当たり前)


ここだけの話、上記の作品は、なんとYouTubeに

全編アップされています(スペイン語)


オフェリアは、その昔、サパティスタと

政府の間の仲介人を初め、2006年には、

俳優やアーチスト、学者たちに呼びかけて

Mujeres sin miedo

(怖じ気づかない女性たち、怖いものなしの女性たちの意)

を組織するなど社会活動家としても知られています。

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娘役のウルスラ・プルネダも舞台のワークショップや

シネクラブを含めた Foro El Bichoの活動を牽引して

います。


この2人の共演が実現したのもマリア・ノバロ監督

だからこそ!と、配給した作品です。

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フリーダ・カーロつながりでは、今年8月に

シアター・イメージフォーラムにて

「フリーダ・カーロの遺品」

 というドキュメンタリーが公開されます。


フリーダ・カーロの遺品を撮影する

写真家、石内都子さんに密着した小谷忠典監督作品。


どんなドキュメンタリーなのか、とても

楽しみです。


2本目はキューバ映画「永遠のハバナ」

35mmフィルムでの上映です。

habana

フェルナンド・ペレス監督は、パベル・ジロー監督を

初めとする革命後世代の監督たちと

共に自由な映画制作を求める「映画法」の

制定に動いています。


子供のころに革命を経験したペレス監督が

その前後の世代の映画人たちをつないでいる

ようです。



すでにDVDもパンフも完売しているので

未見の方は、ぜひ、この機会に!


3本目

スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~

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皆様からの反応を観て、静かに長~く上映していけたら、と
思います。

女性同士のお客様が増えているのが嬉しいです。

観た後には、話したくなること請け合いです。

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12:00 「ルイーサ」

14:30「聖者の午後」

16:45「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」


なんだか春を通り越して夏ですか?みたいな

太陽が輝いている渋谷です。


今日の1本目は、アルゼンチン映画

「ルイーサ」

サウンドトラックのお問い合わせいただいて

いるのですが、すみません、タイミングが

合わずに出せませんでした。


これが配給した中で最後の35mmに

なったのですが、公開は2010年、と

ほんの5年前だったのか、と

遠い目になってしまいます。


ルイーサがどん底に陥っている間の

ブエノスアイレスの渋い雰囲気の映像には

「銀残し」という日本の技術が使われていて、
最後のシーンで抜けるような

青空になるのが印象的です。

luisa

2本目はブラジル映画「聖者の午後」

cores

公開時にフランシスコ・ガルシア監督が

来日して、日本の三宅唱監督と互いの

作品を観て行った対談を
OUTSIDE IN TOKYOに掲載して
いただきました。

 

「聖者の午後」フランシスコ・ガルシア
「Playback」三宅唱 監督対談

 

長いですが、お時間有る時に、ぜひ。


 なお、三宅唱監督の新作

「THE COCKPIT」が、今月5月30日から
渋谷・ユーロスペースで公開されます。


3本目は

「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

みなさま、この作品を見つけていただき感謝いたします。

皆様の声が命!ということで、サイドバーに
ツイッターを入れてみました。ちゃんと見えるかなあ。
息の長い上映が目標です!



今日も晴天!暑そうです。


昨夜は母と一緒に下北沢にあるキューバレストラン

「ボデギータ」のイベント「キューバを語る」Talk Eventに

行ってきました。

cuba


時間の制約があって途中で抜けなければならなかったのが

残念!!それでも、日本人よりキューバ人に近い、

ボデギータの清野さんの話は面白ろかったです。


米国との国交正常化については、これからどうなるのか、

次期大統領選に出馬を発表した共和党の

マルコ・ルビオ氏は、両親が1956年にキューバから

マイアミに渡った移民二世で、スペイン語に堪能、

キューバとの国交正常化に反対しています。

まず共和党の代表候補になれるかどうかだけれど、

今、オバマ大統領が進めている国交正常化交渉が

任期中にどこまでいけるか注目したいところです。

マルコ・ルビオ氏のFacebook


ということで、今日の1本目はキューバの歴史(独立から

革命まで)を女性を主人公に描いた
「ルシア」

長くてすみません!みたいな映画ですが、 この3部作、

1969年、ウンベルト・ソラス監督が若干26歳で

制作した作品です。

lucia4

物語の中心に女性をおくことで、歴史が見える、

という観点から撮られた「ルシア」は、クラシック映画の

中でも異色ですが、3部目の革命直後のルシアが、

コメディ仕立てで、かの有名な「グアンタナメラ」に

のって、展開するのも見所です。

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独立戦争時のルシアはスペイン男に裏切られ、

マチャード政権時のルシアは、父の浮気の話しか

しない母に疲れて、革命を夢見る男と行動を共に

して失う、という女性にとっては、イタい物語ですが

恋愛がきっかけとなって人生を変えたいと思う

気持ちは、現代にも通じるものだと思います。


キューバの歴史を知るきっかけになれば嬉しい1本。


2本目は
「ブエノスアイレス恋愛事情」

一昨日も書いたので、今日は、何を書こうかしら~と

思っているのですが、これはやはり「壁をぶちこわす」

「ル・コルビュジエの家」は、隣人が窓を作るために

壁をぶちこわしているところから始まりますが、

「ブエノスアイレス恋愛事情」は、最後の最後に

ひきこもり気味のマリアナとマルティンが、

それぞれ、「もっと光が必要だ!」と思って

壁をぶち抜く。

medianeras

ブエノスアイレスには窓を作ってくれる業者が

いるので、違法であれ、なんであれ、色んな

窓ができてしまうのだ、ということを、この映画で

初めて知りました。


そして3本目は「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

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陰の主役とも言えるシスターたち

公式サイト

前作「ハバナ・ブルース」と共に監督について
書いた記事は…
こちら


12:00 「ある官僚の死」

14:30「地中海式 人生のレシピ」

16:45「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」


さて、今日から3週目、最終週に突入です。

1本目がキューバ映画「ある官僚の死」

2本目がスペイン映画「地中海式 人生のレシピ」

と、今日は楽しめる作品が2本連続。


「ある官僚の死」は、行政の窓口の
担当者次第で、振り回される一般市民の
苛立ちと怒りを笑いと共に描いています。

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このきっかけとなる窓口の対応って、

当時のキューバだけではなく、

今の日本でもあるよねえ、と思うのですが、

(単に窓口の担当者が知らないだけで、
時間をくったり、他の窓口に回されるとか)
そのあと、そこまで行くか!というほど、
この甥っ子と叔母のコンビが、とぼけた感じで
微笑ましく、何とか叔母を助けようとして、
どんどん事態を悪化させてしまう甥を
ハラハラしながら観てしまいます。

でも、そこはトマス・グティエレス・アレア監督、
このユーモアの中にしっかりと批判を込めていて、
これは今後の日本に必要となる手法かもしれない、と
また見返している今日このごろ。

チャンスのある方は、ぜひ!!


dvdmuerte


「地中海式 人生のレシピ」も、すったもんだの

末に結婚したソフィアとトニの関係がぶっとんで

いるのですが、一番、変貌をとげるのがトニのキャラクター。

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真面目に働き成功して、妻や子供に大きな家と安定を

与えたにもかかわらず、子供を連れて出て行こうとする

ソフィアを何とか理解しようとするところに、監督の

意図が隠されています。

「こういう夫がいてもいいじゃないか!」

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妊娠や子育てで一旦、中断したキャリアを再開させるのは

至難の業ですが、スペインやラテンアメリカの女性たちは

実生活でも、キャリアの再開に挑戦することが当たり前なので、
中断することを怖がっていません。

家族や周りの支援があればこそでしょうが、
スペインで女性初の国防相になったカルマ・チャコン氏(2008年
社会労働党のサパテロ内閣時)も任命された時、
すでに妊娠7ヶ月で、出産から復帰までは
ルバルカバ内相が国防相を兼任して乗り切ったりして
いたことを思い出しました。

この映画で主役を演じたオリビア・モリーナ(スペインでは

有名なアンヘラ・モリーナの娘)も、

2010年にスペイン人俳優のセルヒオ・ムールと結婚し、

2012年に第一子、2015年(おお、今年じゃないか!)
に第二子を出産して、今は子育てに専念したいと、
映画には出ていません。


CHANCEのクリップ-オリビアとセルヒオ(スペイン語)


第二子出産のインタビューで、「今は、これまでしたくても

できなかったことを学びたい」と、あくまでも

今の人生を楽しんでいるようです。


「俳優であることは自分の人生の一部」という生き方を

周りが認めると同時に、ハリウッドと違って、

年齢を重ねた女優が必要とされる作品が多いところも

スペイン映画界の特色かもしれません。

母アンヘラ・モリーナ(右)と

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© Hola.com


3本目は新作「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

今日から上映時間が16:45となります!

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ひときわ目立つ看守フロレンシア。
真っ赤な口紅がトレードマーク。
つい出てくるのを待ってしまいます。

一段落したら、星野さんとのトークの内容を

書きたい!と思いながら、今日もパンフとDVD

(昨日「12の椅子」が売り切れたので!)を持って

劇場に行きます。
(最初に送れなかったので、持てるだけ手持ちで行ってしまい、
なくなる度に補給しているという自業自得な状況)


身体が2つ欲しい~~♫

12:00 「12の椅子」

14:30「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

16:45「ブエノスアイレス恋愛事情」



あっという間に金曜日。間もなく最終週に

突入する「ラテン!ラテン!ラテン!」。


今日1本目のキューバ映画「12の椅子」は

最後の上映。トマス・グティエレス・アレア監督作品で

革命直後の1961年制作で、当時の様子を残して

置くために、外でロケを決行しました。

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物語は、ブルジョアだった男イポリートが、

義母の死の床で、「財産を国に没収されないように

ダイニングセットの12脚の椅子のひとつに

宝石のコレクションを隠した」ことを聞き、

その椅子を探すためにハバナに戻って来ます。


でも、すでに、屋敷も椅子も

国の財産となっていて、椅子は散り散り、

バラバラに…。


見つかれば相当な金になる、ということで、

元運転手の男が手伝うことを約束するのですが、

もう、ご主人でもなんでもない、皆、平等に

なったのだから、というところが、この物語の

ミソで、まだ昔のままの考えでいるブルジョア男が

椅子を探し求める過程で、どんどん崩壊していく

というブラック・コメディです。

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期間中、劇場でDVDを3,000円(税込み)で

発売中です。

今回上映されるキューバ・クラシック映画の
予告編をこちらに。

それぞれの最終上映日時です。
「ルシア」5月10日(日)12:00 
「ある官僚の死」5月9日(土)12:00
「低開発の記憶」5月14日(木)14:30


2本目はスペイン映画「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

明日から、上映時間が変わり、16:45からとなります。

原作のドゥルセ・チャコンの同名小説や内戦に関しては、

パンフに書きましたので、ご興味ある方は、ぜひ!

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3本目はアルゼンチン映画「ブエノスアイレス恋愛事情」

公式サイトに、この映画をめぐるブエノスアイレスガイドを

書いています。

映画の中の建築

マリアナが訪れるプラネタリウムや物語がある

カバナビルなど、ブエノスアイレスを訪れる方は、ぜひ!

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12:00 「聖者の午後」

14:30「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

16:45「地中海式 人生のレシピ」


巷ではゴールデン・ウイークが終わったようですが、
特集上映は、まだまだ続きます~。

今日の1本目は、16本の中で唯一のブラジル映画

「聖者の午後」。よく「聖者の行進」と言われますが、

「聖者」とくれば「行進!」と言いたくなる気持ち、

分かります。


舞台は現代のサンパウロ、主人公は30代前後の3人。

(今、気づきましたが、3本目の「地中海式~」と

同じく女性1人に男性2人という構成です)

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また、よくある構成だと言われますが、こちらは

一組のカップル(ルアラとルイス)とその友人(ルカ)。

3人とも色恋沙汰よりも、今の生活を何とかせねば、と

思っているのにどうしていいのか分からない。


学歴もないし、仕事もないし、あっても続かない。

ルアラだけは、現実的で、お金をためて旅に

でる計画を実行するため毎日、熱帯魚のお店で

働いているのですが、恋人のルイスは、仕事が

続かない上に、再開発で住んでいるところも

追い出されそうな崖っぷちにいます。


ルアラは、ここではないどこかへ

連れて行ってくれる男性の出現を妄想する

ようになります。

suiso


サッカーのワールドカップやオリンピックで

社会が動いているのに、そこから落ちこぼれた

30代の姿を描いた作品で、監督もプロデューサーも

30代で、サンパウロ出身。


監督は、国の政策の恩恵からはずれた、30代と、

すぐに下流に落ちそうな中流という、数は

多いのに外からは見えない層を主人公に

したかった、と言っています。


いま、ブラジルでは汚職に抗議する大規模な

反政府デモが起こっていますが、

その根っこは、この3人のように、学歴も

仕事もない30代が大変多いこと。


ここには派手な抗争もサッカーもサンバも

ありませんが、この3人が自分の人生に

嫌気がさしていても、3人を見守るばあちゃんと

ばあちゃんが飼っている、のんきな陸ガメの

おかげで、現実から少し離れられる時間と空間を

与えられて、つかの間、息ができることを感じました。



ブラジル映画の中では異色中の異色ですが、

DVDの予定もないので、ぜひ、劇場で!


2本目は、今日も「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」
昨日も、たくさんの方に観ていただき感謝しています。
すでに2度観て下さった方も…。

「内戦やフランコ時代を知らなくても、よく分かるし

この圧力は今の日本にも通じるものがある」と

いう感想をいただいております。

「抑圧された中でも愛を貫くというのがスペイン的」
というご感想も。

この作品でゴヤ賞とサンセバスティアン映画祭女優賞を
受賞したマリア・レオンが演じたペピータが、素朴で
敬虔なクリスチャンから、芯の強い女性になっていく
姿も見所です。

内戦直後の女性たちの姿がここまで描かれた作品は、

これまで皆無でしたので、ぜひ、この機会に!

voz2


3本目はスペイン映画「地中海式 人生のレシピ」

こちらは、同じスペイン映画でも、バルセロナの

小さな町が舞台で、笑えて楽しくて、家族って

どんな形でもいいじゃない、という思い切り

ぶっとんだ作品です。


女性1人に男性2人で、こちらはイケイケ

どんどんの女性に男2人が振り回されながらも

何が幸せなのか、を見つけて行く物語です。

dieta


だから誰も死にません。だいたい女性1人、

男性2人だと、2人の男のうちの1人が

死んじゃう(「突然、炎のごとく」)か、

失意のうちに去ってしまうのですが、この映画では、

一旦、去っても、また戻って来る、という

スペインならでは、いや、カタルーニャならでは

かも?な物語で、世間から何を言われようが、

自分たちにとっての幸せを求め続ける3人が主人公です。

迷走する3人を助けるのが、食堂をやっている

お父さんですが、このお父さんも面白いので、

ぜひ、注目してみてください。


こちらのオリストレル監督は、アート系映画作家が

多いカタルーニャ出身ですが、

フランコ時代に禁じられていたコメディの

復活のために映画を作り続けると言っています。



何でもあり!な、この作品、楽しんでいただければ

嬉しいです。

12:00 「低開発の記憶」

14:30「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

16:45「永遠のハバナ」


本日は、「スリーピング・ボイス」をはさんで

2本のキューバ映画を上映。


1本目は、キューバ不朽の名作「低開発の記憶ーメモリアスー」

舞台は1961年のハバナ。革命がそんなに続かないだろうと

様子を見ていた資産家たちが、次々とキューバを出て行く頃、

煩わしい家族から離れて「小説が書ける」とハバナに残ることに

したセルヒオが主人公。

memorias


このセルヒオ、ブルジョア階級の友人たちを軽蔑しながらも、

革命の熱気にもついていけない。周りが刻々と変化する中で

マンションの望遠鏡から街をながめては「何も変わっていない」

ことを確かめる日々。街を歩き、若い女性を誘って、教育しようとして

逆に家族から訴えられたり…。



当時の街の様子やピッグス湾事件(亡命キューバ人を集めて

米国が攻撃をしかけた事件)のドキュメンタリーを交えながら、

革命からミサイル危機へとすすむキューバの様子が描かれた

今こそ必見の作品!


2本目の「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」は、

昨日の上映終了後、作家の星野智幸さんとトークしました。

お越しいただいた皆様、ありがとうございました。

talk1


内容は、後日、文字起こしして、書ければと思いますが、

今の日本の状況と照らし合わせた星野さんのお話しに

深くうなずきました。


まだ社会が危うい方向へと進むときに、自分たちに

何ができるのか、というテーマは、先日、ご紹介した

星野さんの「呪文」(文藝)と共通するところが

あります。感想は、また改めて。


本日3本目はキューバ映画「永遠のハバナ」

35mmフィルムでの上映です。

ハバナに住む市井の人々の1日が街の音と

音楽と映像で描かれています。


予告編
今、観光客をはじめ、多国籍企業や各国の視察団が

大挙するハバナは、これからどう変わって行くのか

誰にも分かりませんが、その前に、この映画の中の

ハバナを記憶の中にとどめておいていただければ、と。


5月5日の上映


12:00 「ル・コルビュジエの家」

14:30「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」

16:45「スニーク・プレビュー」


5月5日のメイン・イベントは、

「スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~」終了後の、

作家の星野智幸さんとのトークです。


星野さんの著作は、このブログでも度々、

ご紹介しているのですが、中でも大作

「夜は終わらない」は、分厚いのに
何度も読みたくなる物語。

昨年、夏に書いたブログ↓

読み出したら止まらない「夜は終わらない」



夜は終わらない/星野 智幸
¥1,998
Amazon.co.jp



そして、いま、最新の文藝のトップを

飾っているのが、星野さんの最新長編

一挙掲載「呪文」。

文芸 2015年 05 月号 [雑誌]/著者不明
¥1,490
Amazon.co.jp


これは、現実に今の日本に起こっていることが

背景にあって、老齢化のために昔ながらの商店街が

シャッター街となりつつあるところに、トルタ屋(メキシコでは

ポピュラーな外側が堅いパンの間に色々はさむやつ)を

出す霧生くんの話から始まるのですが、

(彼はメキシコで修行した)もう、余りにも

自分に似ているので、ハラハラしながら読んでます。


メキシコのトルタは、こんな感じ。

torta



果たして明日までに読めるのか、というハラハラ度

ですが、そんな星野さんと今回の特集上映作品や

星野さんの小説を通して、今の日本のことを

話せたらいいなあ、と思っています。


なぜなら、私がラテンアメリカ映画を上映して

きたのも、そこに生きる知恵があるからで、

それは実は昔の、たとえばうちの亡き祖母の

生き方とかぶるところがあって、決して

遠い国のこととは思えないからです。


映画も小説も物語が生まれるにいたった

「根底にあるもの」が面白いと思うのです。


星野さんとは一緒に「スリーピング・ボイス」を

観て、その後、トーク、それから、一体何の映画?という

スニーク・プレビューまでご一緒していただけるそうで
とっても楽しみ~♫


スニーク・プレビューは63分というウルグアイの中編ですが、

ずっとやりたかった作品です。

ポスターは劇場に貼ってありますが、ここでは、

ちと、別のビジュアルを。

lavida


トークはスニーク・プレビューのみを観られる方も

聞けますので、ぜひ!

16:30ぐらいに来ていただけると間に合うか、と。

スニーク・プレビューに関しては、何も話しませんので、

ご安心を。


でも、映画好き、映画人の皆様に捧げる
シネマテークの物語です。


あ、言っちゃった!